『Toy』(Song by Block B) MV感想
公 開 日:2016年4月10日
収録音盤:『Blooming Period(5th mini album)』
ただ捧げるだけの恋に
切なさを通り越して痛々しさすら感じる、
Block Bのイメチェン曲第二弾。
2014年4月にデビューしてから2年。
それまで『悪童』という言葉のイメージ通り、HIPHOPの強さの中に子供が好き勝手自由に楽しむようなノリの良さを感じる曲で活動してきましたが、一個前の活動曲『HER』(4th Mini Album『HER』収録)で、アイドルとしては珍しいことに、それまで活動曲ではやって来なかった「あの娘が美しすぎて好きすぎてどうしよう!」という、定番な内容のラブソングを、元気に可愛く、かつブロビらしく歌い上げてプチイメチェンに大成功しました。
で、大好きソングで可愛くしたら、今度は失恋ソングで「しっとりしたのもいけますよ」と世に示すのもまたKドルの定番という事で、この『Toy』でもまた大きくしイメチェンをし、「ただ捧げるだけの一方的な恋に苦しむ男性の心情」を歌った曲で、それまでの『悪童』イメージを消し去った、成熟した大人っぽい姿を見せてくれました。
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まず、歌詞の内容なのですが、ざっくり言うと
『愛する女性に献身的に尽くすも、都合のいい時に頼られるばかりで報われない恋をする主人公が、痛みや悲しみを抱えているにもかかわらず、それでも自身をおもちゃ(人形)に例えて、「僕の運命は君のモノだから、好きにしてくれていいんだよ」とどうしても愛さずにはいられない気持ちを歌った曲』
という感じです(長い)。
全体的な曲の感じとしては、テンポもゆっくりですし、バックトラックが控えめで音数が少なく、ボーカルのメロディを含め曲調の変化も緩やかなので、穏やかでありながら、静かな寂しさを感じる雰囲気の曲になっているな~と思います。
この曲は、まず1番の歌詞が『愛する人に愛してもらえなくても、笑顔が見られれば満たされる。僕は君のものだから、何もしてもらえなくても君の事を愛しているよ』といった感じの、愛が報われない痛みを抱えながらも、そんな自分の立場を受け入れている様な内容になっています。
主観的にありのままの自分の気持ちを述べていると言うよりは、少し俯瞰で見た自分について語っている、という感じです。
そして曲の方もそれに相応しく、基本的には低めの電子音が中心で、ところどころパーカッションっぽい音が入ったり、しゃべる人形っぽい声が入ったりするだけなので、それが無機質で温度が低く、寂し気な雰囲気を醸し出しているように感じました。
しかし、2番以降はもう少し主観的で、『本当は、ほんの少しでもいいから愛する人に振り向いて欲しい。気にかけて欲しい』という気持ちが少しずつ吐露されていきます。それに合わせて、基本的には伴奏にそこまで変化はないのですが、2番の冒頭のP.O.ちゃんのパートや、2番サビ後のジコさん、キョンちゃん(パッキョン)のラップパートの後半、ビボムさんのブリッジなど、所々で悲し気なピアノの音が入ってくる様になります。ピアノの様に「この音はこの楽器!」と分かる、いわゆる生音っぽい音の方が、電子音よりも温かみと言うか人間味を感じると思うので、気持ちを吐露し始める2番でピアノの音が入ると、曲も少し感情的な感じになるな~と思いました。
それと、テイルさんがサビを歌った後の、ジコさんの『Now you know All you need is me I'm your toy…』のパートで入るラッパの音が、おもちゃの様に扱われる主人公の、悲しく滑稽な様を表しているみたいで個人的に好きです。振付けも人形みたいな動きですしね。
さて、この歌はもちろん曲も良いのですけど、私は歌詞の内容がものすごくすごく好きなんです!
個人的に、『好きな人に尽くすも、自分は相手の一番好きな人にはなれず、都合のいい男になってしまっている』という状況を『人形(おもちゃ)』に例えるという比喩表現がばっちり決まっている曲だと思います。
例える系の曲って、その例えた『物事』や『物事から連想されるキーワード、シチュエーション』を、センス良く活用しないと、あまり良い歌にならないと思うのですよね。
例えば 『Porice』っていうタイトルにするなら、『逮捕(捕まえる)、犯罪、泥棒、サイレン、取り調べ…etc.』という感じに、関連するワードは色々あります。
ただ、キーワードの使い方や例え方が、単純だったりありきたりだったりするとすっごいダサいし(♪君は男のハートを盗む悪い泥棒猫。僕はPorice man今すぐ捕まえるよ☆とかね 笑)、逆に使わなすぎだと、それはそれでわざわざ例えた意味が無く、印象に残らないその辺にありそうな歌になってしまうと思うんです。
『Toy』は、2番が終わって、ジコさんとキョンちゃんが堰を切ったように気持ちを吐露するラップパートに入るまでは、全体的には本当に人形の気持ちを歌った話とも取れる様な内容で、『差し出せるよ』『あるものないもの全てつぎ込んだ』『手紙を書いた』などの『主人公は能動的に動ける人間』だという事が分かる言葉が時々入るから『男女の愛に関する歌』だと分かる様な作りになっているという印象があって、そこの割合のさじ加減がすごくうまいな~と思うのです。
これが逆に、基本的には『好きな女性に都合よく扱われる男性』の気持ちを歌っていて、時々それを『人形やおもちゃに例えたワードが入る』という割合だったら、もっとありきたりな曲になっていたんじゃないかなと、私は思います。
また、うちの姉が、
「最初この曲のステージ映像(字幕付き)見た時、『何この超気の毒な歌?』って思った」
と言っていたのですが本当にそうで、私はこの歌を聞いた時、切ないというよりは、『すごくかわいそうだ』というなんともやるせない気持ちが心に強く残りました。ちょっと話が変わりますが、誰でも子どもの頃にお気に入りだったおもちゃやお人形というのはありますよね?
だけど、どんなに可愛がって大切にしているつもりでも所詮は物で、自分の遊びたい時にしか遊ばないし、大人になって必要無くなればいつかは捨ててしまう。それは、誰にでも身に覚えがあることだと思います。
そんな、誰にとっても身近でどこか罪悪感と哀れみを覚える『おもちゃ』という存在に『好きな人に尽くす男性の気持ち』を上手く重ね合わせたからこそ、聞いた人に切ないどころではない『すごくかわいそうだ』という強いインパクトを与えるのではないかな~?と、私は思いました。
そんな諸々が『Toy』を他の悲しい恋の歌よりももっと強烈で個性的な曲にしていて(少なくとも私はそう思っていて)、元々のブロビのいわゆる『悪童』イメージとは違いますが、間違いなくブロビの名曲の一つだなと私は思っています!
それにしても真っ先に思うのは「やっぱジコさんすげえな!」って事で、ブロビの強いHIPHOP的イメージの象徴みたいな人がこんな曲作っちゃうギャップにまずびっくりだし、更に「何でこんなことできんねん…」って思うのがMVでもしっかり曲に合った「一途で可哀想な男」を演じていらっしゃるところですよ皆さん…。
絶対女性にいいように使われたりなんかしなさそうな人なのに…笑 なんでや…笑
1番の最後の「Now you know,all you need is me I'm your toy」の所なんてまじで気の毒。こういうできる事の幅の広さが、アーティストとして才能があるという事なんだろうなぁ…としみじみしてしまいます。
けど!
私が好きなのはキョンちゃんことラップ担当のパッキョンくんのパートなんですよぉ!みなさん!
いつもは『Very good』や『NalinA(난리나)』みたいに、どちらかというと高くてかわいい声で、強いというよりはファニーな感じのラップを披露する彼ですが、こういう曲で静かに呟くように歌うとなんかすっごく…こう…いたいけ!!
元の性格も明るい子なのにね。印象変わるなぁ(*´▽`*)
でもって、この曲もやはりヴォーカルメンバーのパートが多いのが嬉しいですね^^
そしてやっぱり言及したくなるジェヒョさんのパートの多さ! 笑
性格も歌声も優しい方だから曲とも合ってるし、ステージではまたまたイケメン出力最大です!
…あ、 MV感想と言っておいてなんなんですが、映像に関しては好きだけどそこまで言いたい事が無いです、ごめんなさい(^▽^;)
そのうち何か言いたくなったらまた書きます~加筆修正できるのがブログの良い所! 笑
あ、でも活動中の映像については1つ!この時の活動は全体的に個性抑えめの彼氏ルックな衣装が多かったのですが、私がイチ推ししたいのはこちら!↓
じゃーん、『おもちゃの兵隊さんルック』です!
珍しい!かわいい!(*´ω`*)
他の番組でもいろんな衣装着てて、Toy活中は彼氏カッコイイみんなが拝めるし、 複数の番組でしっかり1位も取った素敵なステージなので、皆さんぜひYou tubeで映像漁ってくださいね~(*^▽^*)
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と、いう訳で、以上で『Toy』MV感想を終わります。
ここまで読んで下さって、ありがとうございました!(*^^*)